雇用を守る出向支援プログラム2020~ 在籍型出向のご案内~(2022年5月2日更新)
2020.09.14
~ 雇用シェア(在籍型出向)を活用して
一時的に休業している労働者の雇用を守ります ~
当センターは従来より出向・移籍を中核的業務として実施しており、新型コロナウイルス感染症(以下「感染症」)の影響により、一時的に雇用過剰となっている企業から人手不足が生じている企業への異業種間の在籍型出向の支援についても取り組んでいるところです。
このたび、当センターは「雇用を守る出向支援プログラム2020」を実施することとし、感染症により従業員の雇用維持を図るための在籍型出向支援の取り組みを一層強化することとしました。
<雇用を守る出向支援プログラム2020のご案内> (447.50 KB)
<在籍型出向支援PR用リーフレット(2021年8月改訂版)> (1.94 MB)
具体的には、各業界団体を通じて当センターの出向支援に関する情報を個々の企業に提供していただくとともに、雇用過剰の企業(送出企業)と人手不足の企業(受入企業)の異業種における人材ニーズに関する情報の収集に努めます。
その上で、送出企業と受入企業間の在籍型出向のマッチングを行います。
〇 新型コロナウイルス感染症の影響により一時的に雇用過剰となった企業が雇用を守るために、人手不足の企業との間で雇用シェア
(在籍型出向)を活用した出向支援を無料で行います。
〇 業界団体や労働組合などに対して「雇用を守る出向支援プログラム2020」に関する情報を傘下の企業や構成組合への提供を依頼
するとともに、これらの団体からの情報も踏まえて傘下企業の送出・受入ニーズを把握し、業種を超えた効果的な出向支援を
行います。
〇 送出人材の異業種での受入促進のため、異業種企業で必要となるスキルの委託訓練や理解促進のためのガイダンスを実施します。


導入事例(出向送出企業)


コロナ禍の困難を、在籍型出向で切りひらく。
スイスポートジャパン株式会社 /〒598-0048大阪府泉佐野市りんくう往来北1番地 SiSりんくうタワー12F /代表者:代表取締役社長 CEO 武智 聡/事業内容:旅客業務、オペレーション業務、ランプ業務、貨物業務、整備補助業務、プライベートジェット機業務など、航空機の離発着を支援する空港グランドハンドリング関連事業を、成田・羽田・中部・関西・福岡・那覇の6空港で提供。
■新型コロナウイルス感染症の影響から、従業員の雇用を守りたい
当社が在籍型出向の活用を決断したのは、従業員の雇用を守りたいという思いからでした。当社は空港グランドハンドリング事業を主力事業としている企業です。2020年から新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて、航空業界全体において需要が縮小しています。当社でもその影響は強く受けており、2020年3月より、多くの従業員に休業してもらっていました。雇用調整助成金と会社の資金を拠出し、従業員には休業中も給与を支給しておりましたが、雇用調整助成金はいずれ縮小・終了すると思っていました。また、何より働かずに給与を貰えているという状態が長期間続くことは、従業員のモチベーションに良い影響は与えないと感じていました。
■在籍型出向の活用が、アフターコロナの企業成長を実現
企業として組織のスリム化は、出来るだけ避けたいと考えていた当社では、様々な制度を活用していました。その中でも今回、特に目立った効果を上げているのが在籍型出向の制度です。
在籍型出向を実施した結果、大きく三つのメリットがあると感じています。一つ目は雇用についてです。多くの従業員に休業してもらいながらも給与を払い続けていた当社にとって、「ノーワーク・ノーペイ」の基本原則に立ち戻ることが出来たのは、非常に大きいです。二つ目に従業員に対して働く環境を提供できたことです。従業員のモチベーションに繋がったと感じており、従業員からもそのような声を頂いています。三つ目はニューノーマルに向けた変化を経験できたことです。当社では、アフターコロナにおいては、日本のスタンダードが大きく変化するのではないかと考えています。そのように考えたとき、ニューノーマルに向けた変化を先取りし、経験しておくことは、当社と従業員の更なる成長を考えたときに、非常に有効だったと感じています。
■在籍型出向成功の陰に光る、従業員目線での事前準備
「従業員の雇用を守る」という目的に対して、在籍型出向は大きな効果を発揮してくれたと感じています。出向後一ヶ月前後では、苦労している様子の従業員も多く見られましたが、二ヶ月目以降は多くの従業員が環境に慣れ始め、「スイスポートジャパンの業務で活かせそうなことを学べた」というような報告を受けることも増えてきました。
今回当社が在籍型出向でこのような成果を上げることができた背景には、幾つかの要因があると考えています。その中でも最も大きかったことは、事前の丁寧な準備です。例えば、従業員とのコミュニケーションの手段を明確にしていたことが一つ挙げられます。まずは出向先ごとに従業員への説明会と質疑の場を設けました。また、情報収集の窓口となる担当者をアサインするなど、出向した従業員が当社とコミュニケーションを取るための環境と方法を整え、出向と聞いて不安を抱える従業員の視点に立ち、プロセスを整備しました。まだ、課題や改善の余地はありますが、このことによって、従業員の皆様には安心して出向していただけたのではないかと考えています。

産業雇用安定センター様にサポートしていただけたことも、非常に大きかったです。当社では出向先の企業についても、例えば「既に在籍型出向の活用経験がある企業」など、幾つかの条件を設定していました。従業員に余計なストレスをかけないためにも慎重に出向先を選んでいる中で、産業雇用安定センター様が事前に、「こういう企業に訪問しますが、ご興味はございますか」などと連絡を下さったため、納得して出向先企業を選ぶことができました。また当社のカルチャーや人材を認識された上で、出向先企業をご提案頂けたことも、大きかったと感じています。
導入事例(出向受入企業)


在籍型出向で創るスキルの相乗効果。
株式会社 万代/本社:〒577-8543 大阪府東大阪市渋川町3-9-25/代表者 :代表取締役社長 阿部秀行/事業内容:食料品・住居関連商品・酒類等を販売するスーパーマーケットの経営
■需要過多で作業負担に苦悩する
当社は、関西圏を中心に155店舗のスーパーマーケットを展開する企業です。緊急事態宣言発令や外出自粛要請などで、消費行動に変化があり、生活必需品を扱うスーパーマーケットの需要が高まりました。そのような状況下の中で、当社では、従業員の手洗い・マスクの着用・健康状態の管理はもちろんのこと、お客様の感染症対策を行いながら営業を続けていましたが、従業員の作業負担が大きくなり、接客品質に影響が出てしまう苦悩がありました。
■顧客満足度につながる「在籍型出向」
今まで様々な雇用確保の手段を試みてきましたが、当社のような小売店は通常時でも雇用を確保しづらく、折角雇用できたとしてもなかなか定着に至らない現実があります。そんな中で、産業雇用安定センター様にご紹介いただけたのが、在籍型出向制度でした。この制度を通じて現在、人材を確保し従業員の作業負担を軽減できるだけでなく、企業間の情報を共有することができています。
また当社では大きく二つのメリットを実感しています。
一つは「足元を見つめ直すこと」です。当社では新しい従業員を受け入れることに伴い、他企業の大切な社員の方を迎え入れる側として自社の環境を見つめ直す良い機会になりました。例えば、従業員一人一人の自分の役割を明確に理解してもらい、新しい成長をしていけるよう、各店舗での売り場作りを改め、常にお客様の目線に立って接客するよう取り組んでいます。
二つ目は「顧客の満足度」です。
出向いただいた方が、これまで当社にはなかった方法でお客様のニーズに対応できるスキルを持っており、このスキルを活用していただくことでお客様の満足度につながることができました。これを受けて当社の従業員が良い刺激を受け、売り場全体を活性化していける良いきっかけにもなりました。在籍型出向を活用することで、お客様に満足がいただける「安心・安全」・「高品質」の提供にもつながっています。
■ 相互的なノウハウ活用をする

働きやすい環境を作り出すことができるだけでなく、出向いただいた労働者の方にも当社のノウハウを持って帰っていただけるため、相互のノウハウを共有できる取り組みに今後の可能性を感じます。
産業雇用安定センター様からの紹介は、異業種であってもミスマッチの無いように話し合いを重ねていただけるため、全国155店舗を展開している当社でも、安心して在籍型出向をお願いすることができます。また、状況に応じて双方の企業を訪問し、ヒアリングを実施していただけるため、お互いに納得感を持って在籍型出向制度を利用することができます。当社は、企業間のノウハウを活用しながらアフターコロナのなかでより働きやすい環境を作り、数あるお店の中から選んでいただける企業として活躍するため取り組んでいきたいと考えます。
在籍型出向とは(2021年5月14日更新)
在籍型出向とは、出向元企業と出向先企業との間の出向契約によって、労働者が出向元企業と出向先企業の両方と雇用契約を結び、一定期間継続して勤務することをいいます。
ここが違う!「在籍型出向」

在籍型出向が労働者派遣と大きく異なるのは、派遣先と労働者の関係です。労働者派遣においては、労働者は派遣元と雇用関係を結び、派遣先とは「指揮命令関係」にあります。また派遣元と派遣先の企業の間では、労働者派遣契約が結ばれます。これに対して在籍型出向では、労働者は出向元と出向先の双方の企業と雇用関係を結び、双方の企業間で出向契約が結ばれることとなります。
厚生労働省ホームページにて、在籍型出向に関する情報提供をしています。
詳細につきましては、厚生労働省ホームページをご確認ください。
【主なコンテンツ】
★動画による在籍型出向のポイント解説(YouTubeリンク)
※動画内で使用しているスライドは「在籍型出向支援」ページにて確認できます。
問合せ先
本件の詳細につきましては、最寄りの地方事務所までご連絡ください。